カヤブキ屋根の基本情報

草で葺く屋根は、究極の持続可能な建築工法

カヤブキ屋根とは、ススキやヨシ、麦わらなどの植物で葺かれた屋根です。
人類が、最初に草などで雨風を凌ぐ屋根を造った時から、カヤブキ屋根は進化し続けてきました。日本のみならず、世界中で草で屋根を作る文化があり、様々な形が見られます。
植物でできた屋根は、土に還すことで土地も豊かになります。また、草原である茅場は、太陽の光エネルギーを利用して、大気中の二酸化炭素を吸収し、蓄えることのできる炭素の量は、森林以上とも言われます。カーボンニュートラル(脱炭素社会)を目指す現代において、カヤブキ屋根は究極の持続可能な建築工法と言えます。

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茅葺きがユネスコ無形文化遺産に

2010年頃から、全国的に茅葺き屋根の古民家などを、文化財登録する動きが始まり、国や県の補助金などを利用し、葺き替え工事が増加。
2020年には、「茅葺」と「茅採取」がユネスコ無形文化遺産に登録され、失われつつある大切な日本の文化を守っていこうという流れも始まっています。
若手の茅葺き職人を育てる流れも、少しづつ生まれ、SDGsや持続可能な社会への関心も高まり、茅葺き屋根はサスティナブルな暮らしの象徴として、見直され、メディアに取り上げられることも増えてきています。

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戦後、減少した茅葺き屋根

今、多く茅葺き民家の屋根に金属が被っています。
高度経済成長期、板金の技術が普及したことにより、一斉にカヤブキ屋根にトタンが撒かれるようになりました。
トタンを被せた屋根は、伝統的な農業が行われなくなった後も、これだけのカヤブキ屋根の民家を残した、“カヤブキのタイムカプセル”なのです。
カヤブキ屋根の歴史が詰まったトタンを剥がし、再びカヤブキ屋根に―。

縄文時代から受け継がれてきたカヤブキ屋根を通して、日本人が培ってきた自然と共存する暮らしの美学を、次世代に紡いでいきます。

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屋根を剥がし、新たな価値を

かつて民家は、カヤブキ屋根が主流でした。一軒の屋根を葺くのに大量の植物を使用するため、ススキ原がありました。トタンや瓦の普及でススキは使われなくなり、カヤブキ屋根の建物が並ぶ日本ならではの景色も、姿を変えていきました。
人々は仕事を求め、地方から都市部へ人口が流出し、人口が減少した地方では、カヤブキ屋根を維持していた「結い」という仕組みも崩壊。かつては、日本中で見られたカヤブキ屋根は、見ることも珍しい程に減少し、カヤブキ屋根職人は絶滅危惧職と言われるほどに。(推定100人〜200人、2022年現在)

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カヤブキ屋根の減少は野生生物や植物にも変化をもたらしました。ススキが使われなくなったことで、森になり、植物が姿を消し、森は獣たちの潜み場となりました。
カヤブキの建物は、昔ながらの景色を作っていただけではなく、ススキ原の景観や生き物、植物を守り、獣が街を襲う事を防いでいたのです。

私達は、伝統的な建築物の技術を伝えるとともに、ふるさとの生物を守り、これからの暮らしのあり方を、提案していきたいと考えています。

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開け、トタンのタイムカプセル

かつての日本の農村部ではカヤブキ屋根の家が多く、日本の古き良き、美しい景色が広がっていました。

今では主流の瓦やストレート屋根は、この100年足らずで普及しています。
それより前は2000年以上ずっとカヤブキがあった。
ユネスコ無形遺産に登録された、日本が世界の誇る伝統建築の技を未来に残すべく、私達は今日もトタンを剥がします。
日本の「匠」やその「技」を伝え、カヤブキを詠う。

耳を澄ませば聞こえる、カヤブキの詠を、あなたの耳で、感じてください。

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代表渡辺の家です~カヤブキ古民家や住宅のご提案~

カヤブキ屋根の魅力を知って頂くために、私たちは様々な挑戦をしています。

代表である私渡辺の家がまさにそれ。トタン(板金屋根)を剥がして、カヤブキ古民家を復活させたり、現代の暮らしに合わせた様々な取り組みを行っております。

薪ストーブなどの見学も可能です。カヤブキ住宅の提案も随時しておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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昔は最も費用のかからない屋根だった茅葺きが、現代では最も維持費のかかる屋根になった理由その理由をいろんな視点から分析することで、コストを抑え、現代の暮らしにあわせた、持続可能なカヤブキのある暮らしをご提案させていただきます。

一人でも多くの方に、カヤブキ屋根の魅力や、カヤブキの美しさを知っていただくべく、私たちは挑戦を続けます。

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